干し柿は高級贈答品?自宅で作れる簡単・干し柿の作り方を紹介。

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干し柿の作り方を紹介 暮らしの知恵

家の庭や畑など、柿はあちらこちらで見かける身近な果物。
柿には甘柿と渋柿の2種類ありますが、渋柿のほうが品種は多いのです。そのせいか、日本各地で渋柿の渋抜きや干し方など、様々な工夫がなされてきました。
自宅で保存食として食べるものから、高級贈答品まで幅広く作られています。
自分で食べる用なら、簡単に自宅でも干し柿が作れてしまいます。
今回は、干し柿の有名な産地である、山梨県の松里地区に伝わる「枯露柿」作りを紹介します。

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干し柿について

干し柿とは、渋柿の皮を剥いて乾燥させたもので、古くは平安時代にお菓子として登場しています。
干し柿は産地や柿の種類によって様々な商品名がつけられていて、その特徴も地域によって違っています。ここでは、山梨県の松里地域に伝わる「枯露柿」作りをもとに、干し柿の作り方を紹介します。

干し柿の違いとは?

同じ干し柿でも
水分が50%前後で柔らかいものは「あんぽ柿」
水分が20~30%くらいで甘味成分が結晶化して白い粉が吹いているものを「枯露柿」
と呼んでいます。

あんぽ柿は、半生で中身はとろっとして柔らかくなっています。
枯露柿のほうが干す期間が長めで、水分が少なくしっかりした固さがあり、保存性も高く凝縮した甘味があります。

山梨県の枯露柿

山梨県の甲州市で晩秋の風物詩となっているのが、枯露柿を作る際に干した柿を吊るした、オレンジ色のカーテンが町中を彩る景色です。11月上旬頃から町のあちらこちらで、軒先に干し柿が吊るされている様子を見かけるようになります。
山梨では、武田信玄が陣中食として干し柿の生産を奨励したことから、枯露柿作りが広がったようです。

塩山駅前武田信玄像と甘草屋敷

塩山甘草屋敷は塩山駅前にある、江戸時代に「甘草」を栽培して幕府に納めていた家です。
甘草は漢方の原料や甘味料としても使われているもので、国指定の需要文化財、高野家住宅の通称で甘草屋敷と呼ばれています。

枯露柿とは?

枯露柿の名前の由来は、
天日で乾燥させるときに、皮を剥いた柿を並べて柿の実全体に太陽の光が当たるように、コロコロと位置を変えたことから、ころ柿→枯露柿と呼ばれるようになった。
と言われています。

枯露柿作りに使われている渋柿は、甲州百目柿です。
甲州百目柿とは?
もともとは、甲州百匁柿と呼ばれ、百匁(百匁・重さが約375g)くらいある大きな渋柿のことです。
甲州市の松里地区は大きな甲州百目柿が取れるため、枯露柿の産地として有名です。

枯露柿の作り方

それでは、枯露柿の作り方について順番に紹介します。

①収穫
・11月頃から、色づいて実った渋柿を収穫していきます。
熟したものより、固めの柿が干し柿作りにはおススメです。
・干し柿は柿の柄に紐をかけて吊るすので、枝から切る場合は柄の部分をT字に残して収穫します。
②皮むき
・ヘタの部分にナイフを入れ、ヘタと根元部分の皮をきれいに剥きます。
これを「肩まわし」といったります。
・広い面の皮をピーラーで剥いていきます。
・皮を剥きながら、厚めに剥いてもいいので、全体の形も整える。
・黒く傷んでいる部分や、熟したり傷で柔らかくなっている部分は、しっかり取り除きます。

柿の渋がつくので、軍手やビニール手袋などをして作業しましょう。

干し柿作り皮むき1

③紐をかける
・タコ糸やビニール紐を用意します。
・紐の先を輪に結び、紐の両端に柿のT字の柄にかけて柿を結んでいきます。
・皮を剥いた柿を2つ一組にして、紐をかけていきます。

紐にかける際、同じくらいの重さの柿を一緒に組み合わせると、干すときのバランスが取りやすいです。柄がT字に採れないものは、「干し柿クリップ」というものも市販されています。

④防カビ処理
干し柿を作る際、カビ防止のために防カビ処理をします。
・大きめの鍋にお湯を沸かし沸騰させていきます。
・柿を熱湯に10秒ほどくぐらせます。全体にしっかりとお湯につけて、さっと引き上げます。
※消毒した柿には、素手で触らないように気を付けてください。

 

干し柿の作り方皮むき

商品として出荷用は、食品用の硫黄燻蒸剤で燻蒸して、防カビ・殺菌処理をします。
硫黄燻蒸すると黒く変色するのを防ぎ、綺麗なオレンジ色の干し柿に仕上がります。贈答品などの商品は、この処理が行われています。

 

⑥まんべんなく干していく
・雨に当たらないように注意しながら、毎日柿の様子を確認しましょう。
・柿の全面に日が当たるようにコロコロと向きを変え調節します。
この作業が枯露柿の由来でもあります。

都心や住宅街では、烏や鳥たちに狙われないように注意しましょう。

干し柿干すところ

⑦芯切り
約20日ほど乾燥させると、あんぽ柿の状態、表面が乾き中が柔らかくなった状態になります。
・柿の果肉と種をつなぐ繊維を切り離すイメージで軽く揉んでおきます。

※途中、黒カビが生えたら焼酎などアルコールを吹きかけて様子をみます。

⑤取り込み・棚干し
・④から1週間後くらい経ったら、すだれやザルなどに平置きして天日干しをします。
柿の形を小判型に平らになるように整えながら平置きします。
・一日1回程度、裏返しして日光をあてます。
・以降7日~10日間ほど、柿をもんでコロコロと転がして毎日干して乾燥させ、形も整えます。
・よく乾燥したら、柿をクラフト用紙など敷いた箱に入れ、しっかりフタをして寝かします。
・十分に乾燥して、粉がふいてきたら完成です。
※粉とは、甘味成分の結晶が、表面に出て白くなったもの。

 

干し柿並べて天日干し

干し柿は気温が高かったり、雨や湿気が多いとカビやすいので、気温が低くて空気も乾燥する時期・場所であることが大切です。自宅の気温や湿気を考えて、室内も利用して干す場所を工夫してみて下さい。

 

なぜ渋柿なの?

干し柿は渋柿で作りますが、なぜ甘柿ではなく渋柿を干すのでしょうか?
ひとつは、糖度の違いです。渋柿のほうがもともとの糖度が高いのですが、渋みの原因のタンニンが邪魔をして、そのままでは甘味を感じられません。
柿の皮を剥いて干すことで、タンニンの渋みと余分な水分が抜け、糖の密度が増すことで、糖の甘さが生かされてきます。
渋柿でも熟した柿は、水分が多くて、干しきる前に傷んでしまうので干し柿には向きません。

干し柿の名産地は

山梨県の枯露柿は、全国で有数の干し柿の産地ですが、ほかにも有名な干し柿はあります。
一番人気で有名なのは、長野県の市田柿。
こちらは、干し柿の生産量・出荷量とともに日本一。水分が多めのあんぽ柿です。
その他、富山県の三社柿を使った富山干柿。山形県の紅干柿。福島県のあんぽ柿。岐阜県の堂上蜂屋柿などが贈答用などでも人気の上位となっています。
産地の柿の種類や、あんぽ柿・枯露柿の違いを食べ比べしてみるのも良いかもしれません。

まとめ

山梨県の枯露柿は、武田信玄が干し柿作りを奨励し、江戸幕府への献上品ともなり、日々の生活の中での保存食の役割と、贈答品としての役割の両方が今でも残っています。

干し柿の色々

干し柿はそのまま食べても美味しいですが、沢山作っている家庭では、アレンジ料理も生まれています。柿なますや天ぷらなど和食をはじめとして、クリームチーズとの相性もよく、ワインのお供にもなっています。
ヨーグルトに混ぜると甘い生クリームのような感じになり、デザートにもなります。
自宅で沢山干し柿を作ったら、色々と干し柿に合う組み合わせを考えて、楽しんでみてください。

柿を使った手仕事については、「柿酢」の紹介もしていますので、参考にしてみてください。